この作品の魅力は、声優さんによるところもかなり大きいのではないかと思っています。その辺をつらつらと書いていきます。結構長くなるかも。
まずは美墨なぎさ役の本名陽子さん。高校生時代に演じた「耳をすませば」の雫役、中学生の時の「おもひでぽろぽろ」タエ子役で知られる方ですが、大学時代は学業に専念。卒業後は洋物のドラマや映画の吹き替えを中心に活動されていたとはいえ、連続テレビアニメでの主役は初めてで、最初に聞いた時は意表をつかれたというか、抜擢という印象を受けました。ところが、実は制作側は当初からなぎさ役に本名さんを想定していた節もうかがえます。
というのは、「ふたりとプリキュア」と「耳をすませば」の間に、類似性というか、共通点を見いだせるような気がするからです。舞台が東京・多摩地区の新興住宅地であると思われる点、主人公が女子中学生(「プリキュア」は2年生、「耳すま」は3年生ですが)である点などですが、個人的には「少女の成長」という、物語上の共通点に着目しています。
私は、「ふたりはプリキュア」とはある意味において「変身と戦闘のある『中学生日記』」ではないかと考えています。ここで想起するのは、「耳をすませば」の故・近藤喜文監督が「アニメージュ」1995年3月号のインタビューで語っていた次のような言葉です(今は現物が手元にないので、「耳すま NET's」さんのこちらのページからの孫引き)。
痛快な少年群像をアニメ作品にしたい!とはずっと思っていて、宮崎【駿・引用者注】さんにはときどき話してはいたんですけど、当の宮崎さんからは「おまえのやりたいのはNHKの中学生日記だろう。出てくる少年や少女がそれぞれ問題を抱えて、うつむいていたりする。そういうのがずいぶん多い」とか言われて(笑)僕もその度に「宮崎さんが思い込んでるような話ばかりじゃない!」といろいろ弁解したんですけれど、まだそのレッテルははがれてませんね。
あくまでも推測の域を出ませんが、制作側は「プリキュア」の制作に当たって、「耳をすませば」を、そして本名さんを意識していたのではないか、ということです。ちょっと根拠が弱いかもしれませんが、「耳すま」との関連性はともかくとして、少なくとも本名さんについてはそのように思われるのです(曖昧で申し訳ありませんが)。
加えて、やや失礼を承知で言えば、なぎさと本名さんの成長がシンクロしている点もまた魅力です。本名さんご自身、最初は相当にご苦労があったのではないかとお見受けするのですが、特に近ごろのなぎさへのはまりっぷりは、目ならぬ耳を見張るほどです。アフレコを見学させて頂いた際にも、周囲の方々から同様の声を聞いたりもしました。
次に、雪城ほのか役のゆかなさん。「あずきちゃん」は別として、最近では「フルメタルパニック」のテッサ役など、どちらかと言えばおたく向け作品に出演している人、というイメージを持っていたので、朝の子供向けアニメへの登場ということに、本名さんとは違う意味でやはり意表をつかれた感じがしました。
しかし、そういったイメージとは裏腹に、ご自身にはほのか役に相当期するものがあるのではないか、と推察しています。例えば、朝日放送の公式サイトに掲載されているインタビューでは、次のように語っています。
わたしもほのかのように和風(わふう)の家で育ち、おばあちゃん子でした。まわりのひとからは「ほのかににている」といわれます。トロいともいわれますが、じつは中身はすごくまけずぎらいです。
それ以外のいろいろ(これも曖昧で申し訳ないですが)を考え併せても、ご自身がほのかへの共感を抱いているということはうかがえます。特に、あの第8話、ゲキドラーゴに捕らえられたなぎさにメップルを投げながら「もたもたなんか、してませんッ!!」のせりふでは、思わず本気で腹を立てて言ってしまったのだ、と仄聞しています。すなわち、なぎさと本名さんとはまた別の意味で、ほのかとゆかなさんはシンクロしているのではないかと。
「えむの覚書」さんが「プリキュアに見える綻び」で
プリキュア最大の魅力は主人公のふたりにあるのですが、これが危うい。
特に雪城ほのか。キャラクターが強いように見えるんですが、どうも声優のゆかなちゃんに引っ張られているんですよねぇ。ほのかではなく、ゆかなキャラになってしまってるんです。
と書いていらっしゃるように、プリキュアのキャラクターは声優に影響されすぎている、という意見もあるようです。しかし、ある面においてはなぎさは本名さんその人、ほのかはゆかなさんその人なのであり、そう感じられるのはむしろ当然であって、それこそが作品の魅力に結び付いているのではないかと思うのです。さらに言えば、それが制作側の狙いなのかもしれません。もしそうだとすれば、その狙いは大成功と言っても過言ではないでしょう。
主役二人以外の配役にも、大いに注目すべき点があります。それは、舞台活動をされている方、あるいは洋画や外国ドラマの吹き替えをされている方が目立つ、という点です。
例えば、ジャアクキング役の小野健一さんはチャッターギャングという劇団を主宰されていますし、メップル役の関智一さんも劇団ヘロヘロQカムパニーの座長です。他にも、石の番人役の松野太紀さんなど、演劇活動されている方が多く見受けられます(あまり詳しくないので、補足があったら教えて下さい)。
吹き替え方面で驚いたのは、ポイズニー役の雨蘭咲木子さん。NHKで放送された「ふたりは最高!ダーマ&グレッグ」(これすごく面白いです。本当に最高!)のダーマ役をはじめ、外画での活躍が長い方ですが、アニメのレギュラーは初めてでしょう。ミップル役の矢島晶子さん、ゲキドラーゴ役の石井康嗣さん、藤P役の岸尾大輔さん、前述の小野さん辺りも、アニメのみならず吹き替えも多数こなしています。本名さんも「アボンリーへの道」のフェリシティ役などを演じられていますね。
こうしたキャスティングは、いわゆる「アニメ的な芝居」(それが悪いというのでは全くありません)ではなく、「人間味のある芝居」を追求しようとする姿勢の表れなのではないでしょうか。「ほぼプリキュアの決意」のdokoikoさんが、「プリキュア」と「ぴちぴちピッチ」を比較して、
なんだかぴっちに出てくる人物たちは、単なる平面に誰かが線を引いて色を塗って描いた絵のように見えるのだ。(中略)それに比べてプリキュアに出てくる人物たちはちゃんと生きているように感じるのであった… という観点からもう一度放映分を全部見直してみると、実はそんなにぴっちの絵と変わらないのだ。
と書いていらっしゃいますが、そう感じる理由の一つは、声優陣の違いにもあるのではないか、と思います。
そして、「プリキュア」の中で最も重要なキャストは、さなえ役の野沢雅子さんであることは言うまでもありません。実は、「プリキュア」のある回を、アフレコ台本を見ながら視聴する機会がありました。さなえのせりふに、台本と比べて微妙に言い回しが変わっている部分がいくつかあったのですが、どう考えてもそちらの方がしっくりくる、というかそちらしかあり得ない、と思えるほど自然な言葉になっていて、そのすごさに慄然とさえしました。
「プリキュア」の声優陣は、ベテランから若手までがバランス良くそろっていて、野沢さんはその要、「明日のナージャ」のダンデライオン一座にたとえるなら、おばば的存在と言えるでしょう。お互いに刺激し合い、切磋琢磨し合うという雰囲気が、アフレコ見学の時にも伝わってきました。キャラクターに命を吹き込む声優の方々の力が、「プリキュア」に関しては特に作品の魅力を増しているように思うのです。
あんまり声優に着目したプリキュア語りを目にしないような気がするので、多少現場との接点もあった身としてちょっと書いてみましたが、仕事より(笑)疲れた・・・。毎日あれだけの長文をお書きになるdokoikoさんはすごいなあと思います。
Posted by fuku at 13:01 | precure | トラックバック (1) 本名さんをお褒めいただき感謝します!この記事にリンク張っておきましたので恐らく本名さんも喜ぶかと存じます。私もご指摘の件は薄々感じておりました(例えばだ一回の教室で先生に指されるシーンなど)。
そして,確かになぎさと本名さんのシンクロ度凄く上がっていると思います。毎週毎週の彼女の成長度がストーリーと合せて楽しみであります!
いや、改めて読んでみると、これって何とか商法の宣伝本の文章みたいだな・・・。どうやら、いまだに「プリキュア」を冷静に語ることは自分にはできないらしい・・・。半分ネタとして読んで頂ければ。
もちろん、本名さんはじめ「プリキュア」の声優さんたちが素晴らしいという思いには変わりないんですが、語り方はもっと考えねば。
Posted by: fuku at 2004年04月18日 02:54初めまして……ちょっと質問が4つあります。
うーん、最近「スタジオジブリソングス」なるCDを入手したのですが。まあ、先に「耳をすませば」の関連曲「カントリー・ロード」の歌声として、本名陽子さんの声を聴いてみたわけです。
……それなりに素敵な印象の曲で、歌声も、井上あずみさん(初期の頃のスタジオジブリ作品に関わって結構な数の曲を歌っていた)に引けを取らなかったですね。本当に。(*^_^*)
まず質問1としては、この印象について何か意見はありますか?
質問2としては、もし「ふたりはプリキュア」の主題歌を歌うように依頼されても、大丈夫だと思いますでしょうか?^_^;
まあ私の中では、この本名さんは「ジブリ映画」で主演声優・兼関連曲担当と言う形で名を上げてから、TVアニメに進んで主演声優を張った方、と言う印象ですね。(当然、前者が「耳をすませば」、後者は「ふたりはプリキュア」、関連曲は「カントリー・ロード」)
質問3としては、この本名さんと「逆」のことをした方として、小幡洋子さんという方をご存知でしょうか。TVアニメで主演声優・兼主題歌担当と言う形で名を上げてから、「ジブリ作品」の関連曲を歌った方で、私は最近、その方が歌った「ジブリ作品」の関連曲も「アニメージュ・ヴォーカル・コレクション」で聞いたのですよ。(*^_^*)
(前者は「魔法のスター・マジカルエミ」で、後者は「天空の城ラピュタ」、関連曲は「もしも空を飛べたら」)
しかし小幡さんの場合、その曲「もしも空を飛べたら」は、私が聞いても「結構、明朗活発な良い曲」と言う印象でしたが、同じ映画に関連して井上あずみさんが歌った曲「君をのせて」が大いに広まりましたから、その前にかすんでしまったわけです。(-_-;)
「ちょうど逆」と言い切れない誤差としては、小幡さんが「マジカルエミ」関連2曲(「不思議色ハピネス」と「あなただけDreaming」)を歌ったのと同じようなことを、本名さんが「ふたりはプリキュア」シリーズで行ってない、と言うことを挙げておきます。^^;
質問4としては、今後の本名さんの印象に、この「ふたりはプリキュア」がどう影響すると思いますか?本名さんの場合は、本命は女優だそうですが、ドラマに女優として出演していても「ふたりはプリキュア」の印象がついて回るかどうか、そこが不安点としてあります。「逆」のことをした小幡さんの場合、本命は歌手で、「天空の城ラピュタ」初上映後も都合7年ほど歌手活動をしていたそうですが、そんな中でも、まだ「マジカルエミ」の印象がついて回って、それに悩んでいたようです。これと似たようなことが本名さんに起きたとしたら…と心配するわけですが、どうでしょうか?^_^;
ちょっと長くなりました、すみません。
うーん、「MaxHeart」から「SplashStar」に進むところで、主役交代と言うことになっていたのですか…^_^;。
それに、「SplashStar」の曲を聞いてみたのですが、それだけでも、「本名さんのイメージとはまた違う曲」と言う印象でしたね、失礼ながら^^;。
Posted by: 宮村敏幸 at 2006年10月08日 22:18